〔レポート〕ユニークな画法で作家の画力を体感!〜使う画材編〜

長良川おんぱく2018秋。 ぎふのふ が、提供する、
熊谷守一没後40余年、勝手にモリカズ企画!

リハーサルを経て、今年のおんぱく初回は10月26日金曜。
無事に開催することができました!

2018秋の長良川おんぱくprogram No.133
故・熊谷守一へのオマージュ。 技法を通して、作家の画力を体感する!
アクリル絵の具で、モリカズ様式。木の板にのせる、線・色・かたち


企画の詳細は、↑のURLをご覧いただくとして。
この投稿では、"リハーサル〜初回"の写真とともに、
今回使っている「リユース画材」について、ご紹介します!


経済力がないから、絵が描けない。は、ほぼ幻想です。


絵を描く道具を揃えようと思ったら、高かったので諦めました 

そんな言葉を聞くことがあります。
そして、実際自分もそう思っていました。うちは片親でお金がないから。と。

たしかに、絵の道具、正式なものを一式買い揃えようとすると、
結構な労力・時間・お金がかかるもので。
でも、描くには買うしかないし。それなら描きづつけるのは無理。そう思っていました。

でも、錚々たる作家たちは、道具を上手に使っていることを発見してから。
 ─ お気に入りのマグが欠けても水差しになる。
 ─ 気に入っていたくすんだお皿もパレットになる。

好きな色と筆さえあれば、
ほかの道具は、案外使いやすいものがすぐ身近なもので代用できる!

と、気づいたのです。

ということで。
ここでは、絵の道具の基本的なもので、代用できるものを、挙げてみました。
コダワリの道具たちは、あとから、ゆっくりじっくり揃えていくことにして、
ひとまず、身の回りにあるものを活用してみませんか?

描きたい!と思ったその気持ちが、しぼんでしまう前に。

1  「絵の具のパレット」、「水入れ」


「絵の具のパレット」は、レトルトご飯の容器。

「水入れ」は、ヨーグルトパック。

どちらも、食品が入っていたプラスチック製の空パックを"再利用"しています。
日本の食品パッケージは、デザイン性、機能性、耐久性を兼ね備えていて、消費者がほんの1度きりで使い捨ててしまうにはもったいないほどしっかりとした作り。もうそれは、毎回キレイに洗えば本当に永久にそれとして使っていけるんじゃないかと思うほどのクオリティです。

ご飯パックなら容器の内面に米飯の離れがよいような特殊加工が施されていますが、実は、それが、アクリル絵の具にちょうどいいのです。パレットがわりにすると、残った絵の具をパックの上に乗ったまま乾かしたあと、爪で端をつまんでペリリと剥がせる! これなら、水場に流す必要がないので、水も排水管も汚しません。

また、形状デザインも、メーカーが違ってもほぼ統一されていて(中には全然違うカタチもあったりしますが)、重ねて保管するのにも場所をとりません。一人で描いていても、水入れはいくつも用意したいですもんね。

こういう合理性は、アート系ワークショップをするのに、とってもうってつけなのです。

2  「モデリングペースト用パレット」

*モデリングペーストは、「盛り上げ材」です。比較的サラッとしたアクリル絵の具でも、油絵の具のようなもったりとした質感を出すため、アクリル絵の具と混ぜて使います。

ぎふのふでは、モデリングペースト用パレットは、牛乳パックの底を三角錐のカタチに切って使っています。
このカタチにすることで、適度に深さが出て、絵の具とモデリングペーストが混ぜやすいのです。

混ぜる時は、使い終わった割り箸が使えます。

※以下の写真のように、2連パレットにすると、色が2色載せられて省スペース。

3  キャンバスがわりの「木の板」

「木の板」は、今回のモリカズ企画のために特別に調達した素材ですが、
ぎふのふで使うのは、近くの材木屋さんから譲ってもらった天井板です。
和室の天井に貼る板。なので、軽くて、板目がキレイ。

熊谷守一は、木の板に描いた作品をいくつも残しています。
外に持ち出すのに都合が良かったから、など言われていますが、
できれば、やっぱり、そういうところまで、マネしてみたいじゃないですか。

そんなことで、材木屋さんにもカクカクしかじか説明をして、
半端で余っていた素材をいただいた(切ってもらった)、ということです。

⬇︎ 木の板だけじゃなく・・・

「石」や「かまぼこ板」なども、アクリル絵の具で描くのが面白くなる素材です。


<番外編> 

・絵の具の選び方。

絵の具の色は、アクリルでも水彩でも、好きな色をまずは3〜5色だけ揃えるところから始めるといいと思います。自分で選んだ色なら、楽しい気持ちで描き続けられます。

・絵筆

できるなら、沢山あると描き分けができて良いですが、いい筆は高い、というのも事実。
かといって、筆の予備知識を持たずに画材屋にいくと、沢山種類があって選べない、ということにもなりがち。まずは、家の中を探してみましょう。小学校の頃に使ってた筆が2〜3本、出てくるかもしれません。

複数本持って、使い分けていると、おのずと自分に合う筆、自分の絵を描く時に使いたくなる筆がわかってきます。それからお店に行っても遅くない。

もちろん、お店ですぐに2〜3本買ってくる、というのでもいいかもしれませんけど。
ひととおり、ご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?

リユース画材、ほとんどお金をかけずに揃えていますが、
それなりに手間をかけて作っていたりします。

一度製品として世に出てきた資源を、何度も使っていく、無駄なく使っていくために。

ひとは、手間が惜しいと、資源を次々に使っていってしまいます。
だって、時間がないし、そうするよりしょうがないから。よくわかります。
それはつまり、忙しくなるほど消費が激しくなる、ということ。

でも、実際は、
大切なものは、少しあれば、満ち足りるのです。
忙しくない方が、気持ちに余裕が出て、幸せを感じられるのです。
環境課題山積の時代、まず自分は、どうありたいか、その姿勢が問われていると考えています。

大人数でデモ行進をするより、自分にできるところから。
そんな輪が広がることで、人間と自然との共生のあり方を真剣に考えていけたらと思っています。


⬇︎モリカズ様式体験中。
できた!
(A)
追記)

勝手にモリカズ祭! と称して始まった企画ですが、
ちょうど『文化の日 熊谷守一展』を開催中(2018/11/4に企画展終了)の、
柳ヶ瀬画廊さんより、当企画へのご協力・協賛いただけることとなりました。

*柳ヶ瀬画廊 

岐阜県出身の油彩画家・熊谷守一氏の魅力を発信しつづける、岐阜市・柳ヶ瀬商店街にある画廊。
他の作家作品も多数取り扱われています。

・柳ヶ瀬画廊  >> http://www.yanagase-web.com/exhibition/index.html

・熊谷守一つけち記念館(美術館)>> http://www.morikazu-museum-tsukechi.jp/

ぎふのふ//サステナブルアートジャパンbyぎふのふ

つづけたい人へ、ずっとつづく環境を。 ぎふにきて、ぎふでこそ体験・体感したい、クラフト系ワークショップやアート系フィールドワークを、ぎふの職人やアーティストとともに。